2023年03月02日
韓国映画「雪道」Snowy Road
人気の韓流ドラマとはちょっと違う韓国映画
連続テレビドラマとして韓国で放映され、このほど日本上陸を果たした映画版が「雪道」
従軍慰安婦をテーマにしたシリアスなドラマです。
終戦後、慰安婦だった過去を消して偽名で生き延びた、半地下の部屋に暮らす老婦人の回想シーンから物語は始まります。
彼女はラスト近く、自ら名乗り出て慰安婦被害を訴える側に回るのですが、こうした例は少なからず存在すると思われ、統計に現れる被害者の何倍もの人が辛い過去を封印して生きて来たのではないかと想像できます。
史実に基づいたエピソードで構成されたとはいえ、あながち事実ではないからと片付ける訳にはいかず、かといって反日をプロパガンダするような内容でもないところがポイントです。日本語教育の場面でのセリフや言い回し等、かなりリサーチされたとみえて韓国の俳優さんたちも一生懸命なのがよくわかります。隣人の17歳の少女を演じる俳優さんが昔、慰安所で助け合った仲間の少女にそっくりなところも対照的。日本軍の悪辣さを描きながらも同時に韓国社会で困窮する弱者の置かれた境遇を対比させているところも皮肉が効いています。
パンフレットの巻末に描かれた環太平洋地域のマップを見ると現在の主なリゾート地、いやローカル空港、投錨地のありそうなところはもちろん、凄まじい数の慰安所が設営されていたことがわかります。
ミクロネシア諸島、ブーゲンビル島、インドネシアのスラバヤ、ジョグジャカルタ・・・・・ジャワ島内だけでも二十数ヶ所を数えます。フィリピン、マレーシアにも空港やリゾートをはるかに上回る慰安所がプロットされ、西はミャンマー・ミートキーナから南はティモール島・クパン、東はトラック諸島に北は華北・黒河やロシア・幌筵島まで
いわんや中国大陸、満州では主要駅ごとに設けられていそうな勢い。九州だけ見ても九ヶ所に上ります。
これら全てに数十人単位で慰安婦がいたとしたら、夥しい人数に上るはず。とてもエンディングで記された二百数十人(7月現在:うち生存者11名)といった慰安婦被害者登録の数では収まらず、その何倍か何十倍の実数に及ぶであろうことは容易に想像がつきます。
しかも映画のラストで語られるように、日本軍が撤収した慰安所では慰安婦たちの運命がどうなったのか?日本本土の国民ではない外国の人間の命を日本軍がどのように扱ってきたのか?
韓国で高まる反日のムーブメントや、少女像をめぐるモチベーションがなぜヒートアップするのか、理解する上で一助となるかもしれません。
もしも事実が映画の通りだったなら、日本での報道だけ見て我々が想像するよりはるかに過酷で膨大な犠牲が払われていたことに気付かされます。上映会に向けてスタッフたちも奔走しているのを見ると決して無関心ではいられない、という気にさせられました。
目黒川沿い◆デモクラTV中目黒スタジオにて上映中〜3月5日迄